あのさ、と、とルイが言う。


「店の裏庭でなにか手元でちゃかちゃかやってんな、と思ってたらちっちゃい靴下編んでてさー、産まれてもいない我が子に、てな。おまえ、産まれる前から愛されすぎなんだよ。だから感覚麻痺してんじゃない?」


「そんなことないよ」


「いーや、そんなことあるぞ」


「多分ルイには理解できないんだ。ボクがこんなに醜く産まれたから、母は失望したんだ、物心ついてから抱かれた記憶がない」


「じゃあ、おまえが美しかったら、抱きしめてくれたのか? おまえのお袋さん」


「さあね。ただ、ボクはそうされたいとも、もう思っていないんだ。無縁だから」