ばかだった。本当に、馬鹿だったのだ。リリアはなんて忌々しい『呪い』と言ったのに。

 顔を馬鹿にされたと思い込み、アレキサンドラはとぼとぼと城へと向かい、自らにあてがわれた寝室でベッドにうつぶせて泣いた。

 花乙女? そんなもの!

 国の華であることが仕事? 行儀見習いも?

 お風呂も髪型も、歩き方まで、みんな薄氷の上を歩くように、用心深く音もなく歩き回っている。

 国は種族の違う多くの人間を招いて同盟国との間をより強固にしたがっただけなのだ。そして、各国に文化を伝えるという名目で花乙女は残りの人生を赤の他人の家につかえる事を強いられるのだ。一生、家畜同然に。