アレキサンドラはむつかしい顔つきをして、
「王が消えた、妃も消えた、ただ一人残ったのは宰相ひとり。さあ、考えられる可能性はどれだけあるでしょうか。王子様?」
「リック、間違ってる。私も、残っていた」
「わざとです。家出王子はお気になさらず広場でライラをかきならしていればいいのです」
彼女は母親が数ある選択肢から、いかにもありそうな答えを選んだだけのような気がしていた。
「バカな私は両親をあの宰相に消されたと思っていた。マグヌスが心変わりしてしまったのだと。だから、予言のことが衝撃だった」
アレキサンドラの目はやさしい。
だが、王子の事を直視するわけにゆかなかった。