「なあ、偉大な親を持つと辛いな? いくらやっても追いつけない。何をしても。泣いたり時にはべそをかくよな」


 隠したって駄目だ。悔しかったんだろう? おまえだって。


 でもそれは……


 だけど、それは……かなわぬまでも、全力で抗い、戦った者にはわからないのだ。能力云々ではない。

 努力の差である。


「おまえはもう一人の私だ。今度こそ、私の言葉を聞いてくれるな? ねむれ、静かに」
「王子……あなたを一人にはしない」


 勇ましい声で、王子の元へと走り抜けたアレキサンドラ。

 上はチュニックに長靴下と、男ものの姿で、素早く駆けつけた。