「お兄ちゃん、これで、この国は、俺のものなんだよ。ふっふっふ。
……バカ兄め」
ぐちゃりとマグヌスの身体が地面に落ちて、人々のおびえる口調に、数々の悲鳴が混じった。
「おやあ? お兄ちゃん、人気者だねえ。あれほど卑しく振る舞ってやったというのに。おーい、みんな殺しちゃうよ?」
マグヌムはちらり、と人間の姿から大蛇へと戻ってゆく、竜族のくせにお人好しな、マグヌスの遺骸を見た。
森の中で嘆きと神への祈りが、一瞬の間、唱和する。
そのときアレキサンドラは自分の内に熱さを感じた。
「なんだこの熱量は、わたくしの心の全てが、目に見えない不思議な力で王子に向かってゆく」