「ああ、私の血でなければ、破損した傷は治せない……竜の医者はおらぬからな」
倒れたマグヌムの上に重なるように、マグヌスは横たわった。
「知っているか? 人間はな、ちょっと急所を突いただけで死に至るのだ。こんな風に」
「まてマグヌス!」
王子の叫びにアレキサンドラの言葉がかき消される。
「お留めになるのですかな? この蛇の化け物のために?」
「安易に命をなげうつなと言っている。他に方法はないのか?」
「竜の医者はありませぬ。それに今はマグヌムを、マグヌムめを……」
アレキサンドラは正気を取り戻し、視界も晴れた。
「おまえの気持ちはわかった。今後マグヌスとマグヌムは王宮で暮らす事を許す! その代わり、絶対死ぬなよ、しっかりしろ!」