「それを用意したおまえは自分の肉を断つ苦しみを負ったはずだ。しかしマグヌスならば
封印を解いてしまうかもしれない」


 保険だな、とつぶやく。


「恐ろしかっただろう? 自分の正体を知られるのは。だから気弱な王子を追いつめた。無能、低能、異端児と」


 アレキサンドラはきつく、マグヌスの弟をにらみつけた。


「自分こそ間抜けた顔をして」


 と、王子の声が聞こえそうだ。


「彼らは待った。今このときが来るのを! 剣を抜く者を」


 王子の前に一振りの緑の長剣が現れた。ぶつぶつとマグヌムは呪いのように呟いていた。