マグヌムが見たのは祈るような乙女の涙。


「遅い。何もかも遅すぎる。欠片が身体に毒をしみこませ、俺は竜の子とふさわしくなった。これも欠片のおかげだ」


「違うだろう……兄マグヌスの愚直なまでの、おまえに対する愛情のおかげ、だ」
「だまれ!」


「黙らん。おまえが毒に苦しんでいたとき、兄は解毒の術を身につけていた。おまえがかけた呪いだって自力で解けたろうさ」


「マグヌスが? あいつに、そんな力が……ありえん、俺の方がより苦しんだ。その結果がこれだなんて。俺が負けるなんて」