アレキサンドラはなにも感じていない表情で言葉を継いだ。
「そして欠片を受け継いだ」
噛んでふくめるように彼女は言葉を意識して句切った。
「猛毒を含んだ母竜の、装甲の、一部を」
それは悲しい事実だった。
「親はどうあれ、おまえ達はただの小蛇だった。だから、兄はおまえを守るためと自衛の手段として、毒蛇になろうとしたのだ」
わかるか? アレキサンドラの目が大きく迫った。この違いが、わかるのか、と……
「わからなかったのだな? 何も気付かず兄を貶めようとしたのだな。悔しいな? 何も思わぬ身ではないからこそ」