それにしても、と衣装ダンスのある小部屋に、なんやかやと理由をつけて集まってきてしまった少女達が目を見張っている。


「あんなに男の子とばっかり遊んでいたのに、このみごとなハニーブロンドの波毛(ウエービーヘア)!」


「やーん、さらさらしてるー。幼い頃はくちゃくちゃしてたのにっ」


「くしどおりもスムーズのようね」


「わたしにも触らせて!」


 熱気でぼうっとしていたらしいリッキーはやっと思い至る。

 女の子は自分が美しく見られているかどうかに関心を寄せる。

 花乙女もただ輪になって踊るばかりが能じゃない。

 『華』でなければ意味を成さない。

 支度を手伝ってくれている少女たちをむげにすることはできない。