『朝、だ。』 まだ白い朝日に照らされながら、私は重たい体を持ち上げる。 結局、眠れなかった。 目を閉じると、瞼の裏に彼の無邪気な笑顔が浮かんできて、眠るのが勿体無いと思ったから。 ――サラリ 春の風が私の鼻を刺激し、優しい匂いが辺りを充満する。 春風になびいた髪は、私の顔へと覆い被さった。 …まだ、髪には彼の匂いが残ってる。 『…もう、春か。』 蝶々が私の指に止まり、コスモスが風に踊る。 彼とも、この野原には毎年遊びにきていた。