「蹴り出しただと? ただでさえ傷ついてる者によくそんなことが……」


 勢い込んで王子が言ったが、門番はただ、


『この門を守るのが自分の仕事だからな』


 と、言って門の前に立ちふさがった。


『看たところ、まだ地上での命を全うできてはおらぬようだ。自分に蹴り出されるのが望みか』


「ああ、先のマグヌムとそっくり、同じところへ頼む」


 王子はなんだかやけっぱちだ。彼は後に『天国ほど鼻につく存在はない』と子ども達に語ったそうな。


『それなら、上から三番目の階段から飛び降りろ。確実だ』