「マグヌム、危ないっ」


 まるでなにも聞こえていないかのように、口だけが動く。


『あ・に・き・に・ひ・と・め・あ・い・た・か・っ』


「ばかーあああ!」


 声の限りにアレキサンドラは叫んだ。

 そして、彼女の後ろに王子が、クリスチーネが全力でその身体をつなぎ止めていた。


「帰るんだ。こんな場所がおまえの生き場所なんかじゃない。おまえだって、本音はわかってるはずだ!」


 だが、彼の身体のほとんどが、全て、闇の中に溶け込んでいた。


「うおおおおおー!」