クリスチーネと王子が、もろくもか弱く力を無くしてゆく、その腕をとった。

 そしてクリスチーネの鏡の道を通って走り抜けた。

 光だ!

 三人は地上に戻れるのだ。

 マグヌムの魂が肉体を離れ始めたのはそのときだった。

彼の身体に、なにかふわふわとしたものがまとい始め、信じられない重力をもって彼の身体を引っ張った。

 一瞬、地面の亀裂が歯のように彼の服を噛んだ。迷うことなく長衣を脱ぎ捨て、大蛇の姿に戻ると、口から威嚇音を出した。

 それを合図に、亀裂は彼をのみ込もうと再び口を開いた。