「心境が変わった。いいから教えろ」
「話しかけるなら自分でしろ」
「じゃあ、直裁に尋ねるが、あの女、千里眼か」
「邪眼だと言っていたが、封印がこちらへ来てどうやらほどけかけているらしいんだ」
「ふうん」
じゃあ、問題ないか、と彼は呟く。いったい何を気にしているのだろう。らしくない。
「あの女……いや、いいか」
そのときだ、大気が震え、ぐらりと地面がたわんだ気がした。
眼に入る石像全てが踊るように動き回っていた。
空からは雷が、雷鳴がほとばしる。
『マアーグーヌームウー。このわしがおまえを逃すと思っているのか? 愚かな大蛇よ。おまえの全てをしゃぶり尽くしてやるわ!』