「一晩でこぶは消えたさ。人間の子供にとっては、あんなでかかったのに。後で変身が解けなくなると困るから応急処置の仕方を教えてくれたし、実際、元に戻れなかった夜には自分も人間に変身して、夜通し相手をしてくれた」


 マグヌムはうつむいてぽつりぽつり、と話してくれた。


「安心だったんだ。あいつの側は。だが、あるとき不意に奴はいなくなった。建国がどうのとミハタを掲げて、人間側の英雄(ヒーロー)になっちまった。あいつは、俺にとっちゃ裏切り者だ。俺に石を投げた人間の味方をして、持ち上げられて、いい気になって!」


 マグヌムはむくれてそっぽを向いている。


「もう、おまえとは口を利きたくないね」


 言ったくせに彼女を耳元まで指先で呼び寄せる。