「ゥ……うう。先ほどから、言いたい放題! 嫌いになるが良いさ、マグヌスの事は! だが、俺の目の前で言うな。あいつはだれにでもきついが悪気があってしている事ではない。人にだけじゃなく、自分にも厳しい、偉いんだよ……そーだよ、兄貴は偉いんだよ」


 そこからは独壇場となった。


「俺が初めて人に変身した時も、絶えず周囲に気を配ってくれたし、人間の子供にからかわれて石をぶっつけられた時にもやり返してくれた。木から落ちてでっかいこぶをこさえた時も、一晩中、川まで降りてって身を浸しては俺の額を冷やしてくれた」


 親でさえしてくれなかったことを、やってくれたんだ。

 と、マグヌムは語った。そして、深い、ため息をついた。


「ただの人間になにがわかる……なにが、わかるという……んだ」