マグヌムは、至極当然のことを言われたと、きょとん、としていた。


「毎日まいにち朝から晩まで顔を合わせなきゃならない、母親の愛情も大人げなく奪い合いまでして、はっきり言って邪魔者だったのよね?」


「邪魔者ではない。そんなことはない。マグヌスを悪く言うなら、帰れ!」

 王子は見た。

 大蛇の眼から涙がほとばしるのを。

 そしてアレキサンドラのすることを見ていた。


「そうかしら、あなたが地獄へ送られたのだって彼がちゃんとしたご供養をしなかったからでしょう」


「竜の肉体は滅べば風に還る。人間の考える供養なんて、野蛮なだけだ……」


「それにしても冷たいよねえ、赤の他人をこんな処までよこして、自分は泉の前だよ? ボクは彼のこと正直好きになれないなあ」