「善かった」


 アレキサンドラが、まだ石庭にも達していない、危険な逃げ道だというのにそんなことを言った。

 恐怖でしゃべるどころでない皆は聞いた。


「それに、ていった。自分を産んでくれた父母を大切に思っててくれた」


「ふん、そんなもんじゃないさ」


「今わかった。あなたあまのじゃくね。本当は……」


「なっ、そんなんじゃない!」


 少し、考えるようにして、彼女は黙って石庭まで走り着いた。

 そして、息を整えるようにしてから、こう言った。


「マグヌムさん、本当にマグヌスさんをお嫌いなのね」
「ああ、もちろんだ。当たり前さ」