と開き、異様なまでの赤さが、振り向いたマグヌムの前に広がった。大蛇は彼を丸呑みしようとしていたのだった。

 頭から丸ごと。

 二人が手をのばさなかったわけはない。かろうじてマグヌムは大蛇の口に、頭ごと捕らわれるのを免れることができた。

 しかし敵もさるもの、全身を大蛇に変身させ、激しく蛇行し、出入り口をふさいだ。


『こびておったではないか、わしに命を捧ぐ、と申したではないか』


「この先、心さえもゆだねたとしても、この肉体は父母がくれたもの。おいそれとやるわけにいかん。それに、まだ、俺は、兄貴に……」


 王子も、アレキサンドラも、心の中で喝采していた。ハーフとはいえど竜の子である。必ず、戻るはずだ。それしかないからだ。