だが、その正体は危険な毒蛇。地上で兄の血によって毒を洗い流されてしまったマグヌムには驚異だった。思わず、悪あがきをしてみたくなる。
 恐怖ゆえに。


「わ、たくしは、中途半端の蛇とのハーフドラゴンで、食されてもなんのお力にもなれません。特に今は毒気を抜かれて、このとおり」


 マグヌムは踊るように回って滑稽を演じた。


『馬鹿のフリもできるのか、やれやれ。もっとやるがいい……そうか、ハーフか』


 主は気の毒なものでも見るような目つきで、柔らかく言った。


『わしは年を経ただけの大蛇だ。別になんの力を持っているわけではない。だが、竜の肉を食えば不老不死の不思議な力が手に入ると聞き、期待しておったのだ、おまえには、の』


「ではご用は済んだ、ということで」