「つまらんな。御主。これは少々、味付けが足りませんな。女もおつけしましょう。それでわたくしを味見するのは、なし、ということで」


『もうよい』


「は?」


『そんなものいらぬと言ったのだ。おまえは器用なことをする。自分の命が危ないとすれば、別の者を出してきてそれを喰え、という。その悪知恵も含めて、わしはおまえが欲しいのだよ。竜の血族である肉体が』


 かんちがいをするでない、と杖で床を鳴らした。

 いらだち、もしくは怒りの表現だったに違いない。

 マグヌムは肩をびくっとさせた。

 どのみち無骨な仕草に、地獄の主もなにも、まるで死にかけたカエルのようにどんよりとした目をしている。