まるで幼児にでも言い聞かせるような口ぶりで、アレキサンドラはムスッとした。
母の教えではクリスチーネの物言いは、唾棄すべきもので、最初こそ、地獄に落とされた苦痛を悪ぶってごまかしているのではないかと、同情していた。
しかし、それは間違いだった。下級の守護精になるほど、荒っぽく扱われるので、その仮面を外さない。
親しくなっても、苦しみを共にしても、それは変わらないのだった。
(でも、あれで女神候補なのよね……まだ見ぬ神よ。幸あらば彼女を救い給え。そして彼女を立派な女神として取り立ててやって下さい)
アレキサンドラは祈った。両膝を折ってひざまずき、教会での礼儀にならって。
クリスチーネは彼女の頭上から、その様子を見守っていた。そしてころ合いを見計らってふわり、と上品なしぐさで降り立った。