(ぱん、ぱぱぱん、ぱんぱん、ぱぱぱん、ぱん、ぱぱぱん……)


 打ってみると不思議な気持ちになってくる。クリスチーネが不思議な気持ちになってき たころ、ぼーんぼーん、と時計の音がした。

 なんのことはない、もとの大広間だ。斜めに月の光が窓際あたりを染めていた。真紅に。


『これって、純粋な魔法か? それとも呪いなのか?』


 不思議がるのも無理はない。時計の針はクリスチーネが動かしたところから、僅かたりとも動いていない。


『この、規模で魔法を効かせるなんて。城全体が俺たちを排除しようとしているみたいだ』


「排除ね、たしかにその通りだ。堅牢堅固、よそ者は入り口からも入れない。じゃあ、裏なら?」