『そうか、暗号の通りに針が指し示す事で、なにか変化があるって言うんだな』


 一を聞いて十を知るクリスチーネは明晰だった。


『だけどさ、地獄の時計は六十進法じゃないんだよな。三進法なの。ちょっとそこいらで待っててくれる。悪霊には気をつけて』


 二人は鍵の開いた扉を抜けて、再び回廊を走った。

 間に合えばよい。間に合えばよいのだが。突き当たってすぐ左側にマミィがいて、薄汚れた包帯を代えて欲しそうだった。


「まかせて、こんなの余裕なんだから! すぐ取り替え得たげる」


「オーオー」


 という鳴き声に覚えがあったが、かまっていられない。先へ行かねば。


 包帯を取り替え、立派な角を褒めてやった。マミィは、


「マーマー」


 と鳴いて、次の回廊の隠し扉を示した。