マグヌムはにやにやしながら主の方を向き、こちらを尻目にした。


「ワシは別におまえが地獄をおん出ようと、ワシの目を盗んで手下を連れて天界へ乗り込もうと、知ったことではないけれどな」


「御主よ、それはどういう事か? まさかこの俺を放逐なさるおつもりか」


「そういうことさね」


 地獄の主はシャーッと威嚇音を発し、マグヌムを動けなくさせた。


「そこな二人は要領が悪い。妖剣でさっさとこのものを切り裂き、喰ろうてしまえば善きものを。ワシはちーとだけ、生き血を吸えれば満足したはずなのに。先ほどからのやりとりでちと腹が空いてのう、さっさと頭からのみ込んでしまおうという気になってきた」


 王子もアレキサンドラも、いつもは獰悪なばかりのマグヌムすらものけぞって、青ざめた。