「と、いうことらしい」


「人間にだってそんな奴がいるさ。で、早死にして地獄行き」 


「よう、わかっとるではないか。早熟の天才はまずエネルギーの量が半端でなく大きく、放出している。悪魔が寄ってゆくのだよ」


 マグヌムの心は少し癒されたらしい。地獄の主に少し近づく。


「マグヌム、頼む。おまえはマグヌスが嫌いらしいが、私だって嫌いなおまえにこうして頼んでいるではないか」


 水が通路に流れ込む音がちょろちょろし始めた。王子は肺が冷たい空気に満たされてゆくのを感じ、白い息を吐いた。

 これからあのかぎ爪で引き裂かれるのか? 王子は再び疑心暗鬼に捕らわれていった。