「ちょっと、海。皐月を泣かせるな。」
棗は海に向かって低い声で睨みつけるように言った。
「…」
「皐月だって、事情は抱えてんだ。勘違いすることぐらいあるだろう。それに、人形といわれて嬉しいヤツはいねぇよ。」
「人形って言われたの?!海、最低…」
葵はあたしの頭は撫でてくれて、慰めている。
その手はとても暖かくて、まるで大好きな人に撫でられているような感触だった。
「…皐月、悪かった。」
海はあたしの手を握って、謝ってくれた。
だけど、まだ”人形”っていう言葉が胸を苦しめる。
すると、教室にある一人の先生が入ってきた。