「・・・ありがとう。」

私は男の子を自分の方に
引き寄せて抱きしめた

男の子の優しさが
さっき傷ついた心に
ゆっくり染みてきた

自分から男の子を離して
もう一度『ありがとう』というと
男の子は公園から出て行った


いつか立派な野球選手になってね


私は男の子の背中にそう祈った

そしてリョウとツバサくんが待つ
コウくんの家へと走った

「ハナー!!
 遅いぞーって・・・

 あんた何持ってんの?」

「え、これ?
 
 フフッ、私の宝物!」

そう言って
さっきもらった野球ボールを
リョウに見せた

「はぁ?
 まぁいいや。

 とっとと片付けるよ!!」

「うん!」

私はそのままコウくん家に入って
後片付けを終えて私たちは別れた