「俺、そろそろ帰ります。」

「もう、帰っちゃうの?
 もう少しゆっくりしていけば
 いいのに。」


お母さんの声が
いつもより高いのは
きっと気のせいだろう


「もう遅いですし、
 ハナも風邪引いてた訳ですから
 そろそろ失礼します。」

ツバサくんは
私が風邪をい引いてたことを
覚えていた

今の私ですら
そんなことを忘れるほど
元気である


「そうね。
 またいつでも遊びにきてね。」

「はい。
 ごちそうさまでした。」


私はツバサくんを見送りに
玄関の外まで行った


「気をつけてね。」

「おう。」

ツバサくんはそのまま
帰って行った

私も家の中に
入ろうとしたとき

「ハナ!!」

ツバサくんは
少し離れた場所から私の名前を呼んだ