三度目の渡りは初めての経験だった。


 むせかえるような香りがもっともっと、強くなっていた。



「ゴジラー、ゴジラーっと」



 相変わらず、雨が降り出しそうな天気だった。


 風景も閉ざされた空間なのがすぐにわかって苦しい。


 だめだ、負けちゃ駄目だ。


 わかってるのに!



「苦しい、くるしいよう……どうしてだよう。ティーレックスのロボット、ぼくもほしいのに……けほ、けほ!」



 貧しくて買ってもらえなかった、と、そういうことなのかな?


 ……泣き出しそうなのは、だれ?



「こっ、これ、あげるから!」