そして、長らく席を空けていたなっちゃんのティーレックスは不思議な経緯で戻ってきた。


 いや、わからないから不思議なんだけどね。



「汚れは中性洗剤でもって布で拭くと良いよ。女の子なら綿棒とかコットンとかでの細かい作業にも耐えられるでしょ」



 勝手に決めつけられると怒り出すなっちゃんだったが、ティーレックスの恩人には寛容だった。


 でも手入れのしかたはボクが詳しく聞いておくことになった。



「これってプレミア付いてるやつだろ? 普通、捨てるかな」



『先輩』は大きな身体を揺すって、ずーっと、おかしそうに笑っていた。


 背の高い人はおおらかになるものなのだろうか。


 貴重なティーレックスを未練もなく返してくれて、扱い方までくわしい。