「なにを騒いでいるんです。かっちゃん、おはよう。かっちゃんはちゃんと支度しているのに、なんですか。ちゃんとお支度なさい」
「いえ、ボクも急ごしらえなんで、ひとのこと言えないんですけれども」
「アラ本当。襟が曲がってる。もしや本家から走ってこられたの?」
だって、なっちゃんのいうことだもの。
僕はこういうの、実はうれしいんだ。
ああ、今、僕は必要とされてる、と感じて。
きゅきゅっと襟を正されてボクはへらっと笑った。
おばさんはごくごく自然にそういうことに気のつくひとなのだ。
ついでにボクは人間としてなっちゃんに惚れてはいたけれど、おばさんみたいなお世話は期待していない。
自分のことは自分でする。もう中学生になったのだから!