「お兄さんはどうしたわけ?」



「ああ、兄貴は家出中。言ったろう」



「聞いてねーよ」



「そうだっけ?」



 なんか、憎めない。でも腹の方は……


 ぐぐう、と思い出したように鳴る。
 

 なっちゃんがいなくて良かった。


 腹立ちよりご飯だ。



「いこう、のりお。朝飯が待ってる」



「おかわりしても良い?」



「今更、尋ねるな。夕べの要領でいいなら、なんとでもなるから」



 なんだか俺、拾われた犬みたいだなあ、とまだとぼけるので、



「拾われたか弱い子犬はそんなに図々しくないぞ」