「俺ばかりがおまえのものだというのは不公平だ。俺にはなんにも無いんだからな。だから、よこせよ」



 のりおは両手を開いて天を示した。


 まるで神の教えを説く聖職者みたいに。



「手始めにおまえのいとこをもらい受ける」



「だから、なっちゃんは……!」



「駄目なら作戦変更だ。おまえをよこせ。それなら対等だ。俺はおまえのもの。おまえは俺のもの」



 ボクは困った。


 頼りない、変声期前の細く、頼りない声で告げた。



「ボクにはいろいろなしがらみがあって、それをどうにかして無視しろというのは無理だし、今こうやって話してることもあるいは」