端から見たら喜劇なんだが、シリアスに忙しい父としては悲劇だ。



「塩なら砂糖、砂糖ならラー油、ラー油なら爪楊枝が入ってる……時もあった……子供の特権を利用して、泣いて止めてもらったよ」



「……」



 ボクはそこにいたって気が付いた。


 のりおの父親は、のりおの母親とは離婚している。


 そして二人ともがのりおを拒絶。


 のりおは今兄貴と暮らしてるはず。


 なんて……話題を持って来てしまったんだろう、ボクは。



「それは次期当主の特権、じゃないのか?」

 

 うっ。


 ボク、卑怯だったのかな。


 そうだったかもしれない。


 落ち着いて考えろ。


 ボクはのりおに、何を伝えようとしたのだったか。