(でもなあ、うちの父さん、ふんぞり返ってはいるけど入り婿で『力』のこともよく知らない。四角四面の公務員、だったんだよなァ)
「のりおくん、今日はうちの子達が世話になったそうで、ありがとう。これからもよくよく頼むよ」
と、赤いひもの付いた五円玉を出してきた。
ちゃんと神社でお清めしてきたお守りだ。
それが、一目でわかったのか、のりおは
「いただけません。このようなもの……」
と再三辞退した。
「いいから。こういうのは気持ちだからね。もとでもほら、五円だし。これからもご縁がありますように、て。縁起物だよ。嫌いかい」