「奈津実(なつみ)ちゃーん、おひさしぶり。元気にしてたかなあ?」
柔らかい包み込むような優しい声。その声にいつも俺は、ついついほっとしてしまう。
姉のさなみが東京から里帰り。
「土産は?」というと、
「なんであんたに」とつれない……
我が姉ながら、美人に冷たくされると胸が痛い。
挨拶もそこそこにこたつにあたる。
なにか上品な菓子を周りに配っている。
さりげなく俺にも配る。
お、サンキュ。
俺が口に出して礼を言わない、ということで、さなみは不服そうにテレビ周辺を見つつ、ため息をついてこちらを見てる。
なんだ、まだ用があるのかよ。
どうせ俺のこと「ヲタ趣味」言うんだろう。
俺も否定はしない。年とともに近づいてはいるがそれだけ働きを投入してるのだ。
馬鹿にしないでほしい。