漆黒の闇に光る、三日月


従業員出口から
冬の寒さが凍てつく扉の外へ
猛スピードで逃げ出した俺。





イタイ

イタイ

ココロガイタイ






今まで生きてきて感じたこともないような、鋭く鈍い痛みが心臓の奥を激しく刺激して、ギリギリと痛む。




ココロは胸じゃなく脳にある




感情を司るのは心臓ではなく、脳





じゃあ、なんでこんなに胸が苦しい?
心のキズは脳の痛みのはずやろ?


心が頭の中にあるのなら
なんでこんなに胸が痛くて痛くて、ちぎれてバラバラになってしまいそうなんか、誰か俺に教えてくれ!!






悲しくて
悔しくて
苦しくて
やるせなくて



俺の頬には冷たい涙の雫がツゥッと伝う。




海からの強い風が
俺の涙を氷のように凍てつかせる。





イタイ

イタイよ、アンナ




アンナのことが好きやから




好きで好きで仕方ないから




俺、苦しくて苦しくて
死にそうや……





頬を伝う涙をグイッと拭って
置いてあったチャリンコに手をかけて
今からこぎだそうとペダルに力を入れた瞬間





「待って、レオ!!」




俺の目の前に
白い天使が現れた。