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運のいいやつ、悪いやつ
間のいいやつ、悪いやつ
どちらかといえば俺は後者で、運とタイミングのえぇヤツやと思ってた。
勉強もスポーツも
人付き合いも何もかも
いつもスムーズで
一度も苦しんだことなんてなくて
努力なんてせんくても
いつもチャンスの神様は俺に微笑んでくれていて、俺はいつもツイてる道を突き進んでた。
“勝ち組”
まだケツの青い、15歳のクソガキのクセに俺は自分のことをそう信じて疑わんかった。
恋は努力ではどうにもならない
世の中の大人たちは決まってそう言うけど、俺は全く信じてなかった。
世の中の大多数のやつらはそうかもしれんけど、もしかしたら俺は違うんちゃうかな。
どこかでそう思ってた。
今は友達以上
恋人未満なペットでも
いつかアンナは俺に振り向いてくれるハズ。
どこまでも傲慢で自己中で、あきれるくらい子どもな俺はそう信じて疑わへんかった。
だってキスも
ハグも
sexも
アンナは俺に許してくれたんやから
近い将来、アンナは俺に愛の言葉を囁いてくれるに違いない。
俺はそう信じて疑わへんかった。
カラダが手に入ったから、全部を手に入れた気になってた俺はなんて子どもやったんやろうな。
あの頃の思い上がりを考えると未だに恥ずかしくて、顔から蒸気が吹き出しそうになる。
でも……
ほんまにそう思ってたんや。
アンナとあの人が
抱き合ってる現場を見つけるまでは――……