自分だけがよければそれでいいと思っていた自分は、なんて子どもだったんだろう。
譲さんとこうなれたこと、私は死ぬほど嬉しい。一度だけとの約束と知りながらも、それでも嬉しい。
でも……
きっと譲さんは苦しい
家で私を見るたびに、今日の罪悪感を思い出して苦悩するに違いない。
愛は与えあうもの
譲さんとの生活の中で、それはいやというほど学んだはずなのに私は愛を押し売りして、結果的に譲さんを苦しめることになってしまった。
結局その日
情事の後無言で部屋を出ていくと
譲さんは自分の部屋から一歩も出ずに、私と顔を会わさないまま一夜を過ごし
おはようも言わないまま
譲さんは仕事に出掛けてしまった。
きっと……
私を抱いたこと、死ぬほど後悔していたんだと思う。
そして、そんな彼を見て
私も決心した。
――もう……、ここにいちゃいけない。
私は身の回りの荷物をまとめると、その日そっと家を出た。