だから…
私は彼を脅迫する。
『今、譲さんが私を拒否するなら、私は違う男に頼む。』
『アンナ！』
『私はホンキよ？譲さん。
あなたが抱いてくれないなら、他の誰に抱かれても同じだもの。』
オンブラマイフの流れるリビングで、私は譲さんの首に手を回して、優しく懇願するように彼をふんわりと抱きしめる。
『選んで？譲さん。
私を抱くのか、捨てるのか。』
自分でも…
なんてひどい取引を持ちかけたのだろうと思う。
どこまでも優しくて暖かいこの人を
私は窮地に追い込んでいる。
卑怯なやり方なのは１００も承知
私はこう言えば譲さんがどういう答えを出すのか、ちゃんとわかって言っている。
得体の知れない誰かに私が汚される…なんて、譲さんは絶対に許さない。
道徳観や倫理観、良心にココロを痛めながら、きっと彼は私を受け入れる。
愛しているからじゃない
オンナとして
惹かれているからじゃ決してない
同情にも似た
義務感にも似た気持ちで
彼はきっとこう言うだろう。
『…アンナがそれを望むなら…
一度だけ、一度だけ抱いてあげるよ……。』
