まばたきもせずに絡み合う、視線
柔らかな日差しの中で、私と譲さんだけ時が止まっているかのようだった。
無言の中でどれくらい見つめあっただろう。
キッチンの水道の蛇口からポチャンと雫が一滴
落ちた時
『……本気かい?』
譲さんは静かに私に語りかける。
『……本気。』
『どうして……、どうして急にそんなことを言いだした?
友達に何か言われたのかい?』
『別に……何も言われていない。
友達は関係ないよ。』
そう言うと
譲さんは“ますます意味がわからない”と言って頭を抱えてしまった。
あのときのリビングには“オンブラマイフ”が流れていたように思う。
キリ・テ・カナワが歌う、美しいオンブラマイフが流れるその部屋で
『私は……ずっと譲さんのことが好きだった。
小さな子供の頃から、ずっと、ずっと。』
初めて譲さんへの愛の気持ちを口にした。