「星野さん、絶対に潮見さんに近づいたらダメだよ。」


「え??」


「潮見さんはイイコな星野さんを騙して連れてくるような悪い大人なんだからね?」




そう言って
後ろから私を抱きすくめながら
成宮君は私の頭をポンポンと叩く。




その顔は私のよく知っている
ちょっぴりイジワルな彼の顔




私をからかって
楽しんでいる時と同じような、
いたずらっ子な笑顔だった




その瞬間…
私は自分の淋しさや切なさが
とってもバカらしいものに
思えてしまった。





きっと…
きっとね??





私はただ悔しかっただけなんだ。




私の知らない成宮君を
潮見さんやスタッフさんが知ってたことがイヤだったんだ。



自分よりもカレを理解していて、私の見たことのない笑顔を引き出す誰かがいたことに、ただヤキモチを妬いていただけなんだ。