受話器をギュっと力強く握り締めたまま、何も言えずに押し黙っていると



「気にしてるのは…
カレのコトかな??」


「あ…」


「なんかおもしろそうなカレだったもんね。沙良ちゃんのカレシ。」




私の空気を察したのか、潮見さんが受話器の向こうでクスっと笑う。







「きっとカレなら心配ないよ。」


「え?」


「ほら。
スナップ撮る時にも“キレイに撮ってくれるなら構わない”って言ってたでしょ?」


「あ……」




その言葉を聞いて
私はテーマパークでの一コマを思い出す。






『キレイに撮ってくれます?』


『もちろん!
今日連れてきてるのはピカ1の腕のヤツだから!!』


『ふ~ん……
よくわかんないけど…カノジョを最高に可愛く撮ってくれるならいいですよ?』


『よっしゃーーーーっ!!!』






そ、そういえば…
私の予想とは反して、あの時の成宮君は嫌そうな顔一つせず、涼しい顔して見守ってたな…。


『発売日が楽しみだね』


とも言ってたし……。