成宮くんの背中は大きくて。
ゴツゴツしていて以外と筋肉質だった。
葉月や弥生とは違うその体にドキドキしながら、フゥ~と深呼吸をして私は彼の背中に語り始めた。
「成宮くん。
テストの時消しゴムのなかった私に消しゴムを貸してくれてありがとう。
テストで赤点取った時、心配してくれてありがとう。
数学の苦手な私に勉強を教えてくれてありがとう。」
成宮くんに伝えたい言葉は一つだけ。
だけど…
その前に、たくさんのありがとうを伝えたかった。
あの単語を
あのたった二文字を伝えて壊れるかもしれない、この関係なら。
成宮くんが私の前から去って行こうとするなら。
まずは私の中にあるたくさんのありがとうを伝えておきたかったんだ…。