それを見届けた駿瑛は、自席の周りをうろうろとうろつき始めた。


(鼬瓏の代わりだと!?

 鼬瓏は、どうしたんだ?

 俺は何も聞いていないぞ……)


 と、そこへ別の側近が書類を手に、駿瑛に近づいてきた。


「駿瑛様……? どうかなされましたか? そんなにうろついて……」

「い、いや。何もないぞ」


(いかん、いかん、鼬瓏の件について、考えていると仕事にならんな。

 やらねばならないことがたくさんあるぞ……しっかりせねば……)


 駿瑛は側近に声をかけられ、我に返った。

 しばらく、駿瑛は、仕事に手を付けていなかった。


「そうですか? では、これをご確認下さい」

「おう」


 私心に気をとられるようでは皇帝は勤まらない。

 駿瑛は仕事に戻った。