宮廷に入ると、凛風付きの女官が、桜鈴を出迎えた。


「おはようございます。桜鈴様」

「おはよう、凛風はもういるのかしら?」

「はい、執務室にいらっしゃいます」

「わかったわ。ありがとう」


 そう言われた女官は、仕事をするべく自分の持ち場へと向った。


 桜鈴も側近室への向おうとしたその時、


「あら? 桜鈴、おはよう」


 桜鈴と同じく凛風の側近である黒 沙夜李(コク サヨイ)と出会った。

 沙夜李は、北方を護り、玄武の守護を受ける一族、黒家の出身である。


「沙夜李、おはよう。あなたも今出勤かしら?」

「そうよ。今日も頑張りましょう!」


 沙夜李は、太陽のように眩しく、輝くような顔で笑った。

 桜鈴と沙夜李は執務室の横にある側近室へと入っていった。