「えっ? ……今、何と?」
他の側近達も同じ思いだったようだ。
別の側近──劉 李瑛(リュウ リエイ)が問うた。
「我は皇帝の地位から退き、榎国で余生を送るつもりだ」
鼬瓏は、言葉を言い換え、答えた。
「お待ちください! 我々を……羅国をお見捨てになるつもりですか?」
それに対し、会話を続けたのは、問うた李瑛ではなく、憂羅であった。
他の者は静かに話を聞いていた。
最後であろう言葉を聞きもらさんとするかの様に……。
「そうではない。我は……もう……」
そう言いつつ、鼬瓏は目を伏せ、手を固く握りしめた。
一瞬、静寂がその場を支配したが、鼬瓏は前を、憂羅をしっかりと見据え、話を続ける。