その夜、自室で鼬瓏のことを考えていた。
駿瑛と鼬瓏が始めて出会ったのは、鼬瓏の皇帝即位式──鼬瓏が羅国の皇帝となるその日であった。
駿瑛は、前皇帝の側近をしていた為、前皇帝の供として、儀式に出席したのである。
(皇帝即位式か……鼬瓏と初めて会ったのは、儀式の後の祝いの席だったな。
儀式中は、遠くて顔がわからなかったけど、祝いの席では、バッチリ見れて、驚いたんだ……)
鼬瓏は、綺麗としか言い様のない容貌に優しげな雰囲気で、しかもその場にいた誰よりも若くみえた。
駿瑛は、人を外見で判断するのは間違っていると解っていても、本当に皇帝が務まるのかと疑ったのである。
(緋国の皇帝は世襲制だが、羅国は実力主義の国だから、余計にそう思ったんだよ……。
まあ、実際、側近を含めても、同じ年なのは俺だけで、それ以外は年上だったし、お互い若かったな……。
最初見た限りでは、下の者が反発しらた崩れてしまいそうな感じだったのに、実際はしっかりと従わせた。
俺は認めざるおえなかったんだ)